安野光雅 ヨーロッパ周遊旅行 展

旅の風景 安野光雅 ヨーロッパ周遊旅行
新宿 損保ジャパン日本興亜美術館にて。


絵本作家 安野光雅の原画展。
旅の絵本シリーズが有名なので、
ペンと水彩の緻密な絵、というイメージがあった。
今回の展示では、
純粋なスケッチが全体の半分くらいあって、
それが、わあーと声が出ちゃいそうなくらい、すごく素敵だった。
鉛筆の線に勢いがあって、
意思があって、冷静で、愛おしさにあふれている。


安野さんの絵は、見る人に空間の広がりを感じさせる。
画用紙の限界はあるのに、
上下左右、奥に、手前にずっと続くよ、って。
だから、私が絵の中に迷い込んで、
本当にヨーロッパ周遊旅行している気分だった。
いろんな国、季節、時間をワープして。


かわいた冬の空の重さ。
牧草地をゆらす風。
はっとする春の色彩。
その土地に暮らす人のいつもの営み。
その空気を一緒に感じてみた。
キャプションはいつも読まないようにするけれど、
描いた土地にまつわる人や歴史と、
安野さんの旅の様子が伝わってきて、
本のページをめくるように展示をみてまわった。


土地は、スイス、イタリア、フランス、ドイツ、オランダ、クロアチア
行ってみたくなったのは、デンマークかな。
もう一度訪れたいのはストラスブール
人は、ピカソゴッホフェルメールアンデルセン、アンネ、ハイジ。
画家が多かったけど、
谷川俊太郎さんや森鴎外のことも書かれていて、
私の大好きな人大集合で、ちょっと悶えた。


『見取り枠を使って描くと、機械になった気がする。』
とおっしゃっていて、その感覚すごくわかる!と思った。
構図は決まるけれど、
自分の中の躍動感が、息をひそめてしまうような。
私は最近まで、写真を見ながらアトリエで油絵を描いていたのに、
なんだか急につまらなくなって、絵を描くことをお休みしている。
描きたいものを描きたいように。
もっと自由に、と思えた日。


幼い頃読んだ、『アーコのおみまい』も安野さんの絵だったんだ。
昔からずっと、お世話になっている。
多分これからも。