エルネスト・ネト Madness is part of Life


エルネスト・ネト Madness is part of Life

前から気になっていた、ぐねぐねした黄色い巨体。圧倒されてしばらく見惚れていたら、「中に8人まで入れますよ」って。
童心に帰って、わしわし登っていく。足元のゴムボールはたまにつぶれていたり。一番奥は少し広く平らになっていて、怪獣の胃袋に飲み込まれた気分。一緒になった人と、「お鍋でもできそうですね」とお話する。こんな都会で、他人と話すことなんてめったにないのに、宙吊りにされた連帯感が生まれている。

網目の間から、東京の摩天楼を望む。特別な景色を前にして、心は静寂に包まれる。
このアートを通して、今、世の中を見ている。すべてはただ在るのにすぎないけれど、普段も私は何かのフィルターを通して見ているんだな。何かに惑わされて汚くなったり、知らずに悪に加担することだってある。そのことを肝に命じておこう。そして長い時間の後には、良いも悪いもなく、いつしか混ざり合っていくんだな、きっと。

それにしても表参道のエスパスルイヴィトンは、心底入りにくい。ギャラリーに来る人と、買い物する人はリンクしないような。無料で見られてすごく嬉しいのだけど、いいのかしら。でも、このきらきらした光の空間があってこそ、だった。

朝、ゴミ置き場の黄色いネットをみると、どうもアートに見えて仕方がない、今日この頃。