天のしずく


天のしずく 辰巳芳子いのちのスープ。

料理番組での辰巳さんは、近寄りがたく料理にストイックに見えていたけれど、とても慈愛にあふれた方。
しっかり生きなさい、と背中をトンと押されたような。それでいて、子供の素直さ、稲穂の緑、赤紫蘇の紫、日本各地の色とりどりの土、雨音、スープのオレンジ、香りまでも漂ってきそうな、五感に心地よい映画だった。

観終わったあと、父方の祖父のことを思い出した。私が物心つく頃には、病院のベッドで寝たきりで、言葉も不自由だったけれど、私がお見舞いに行くと喜んでいるのは分かった。あの頃、祖父はどんなものを食べていたんだろう。最期はどんな気持ちだっただろう。幸せだったかなあ。

食べ物は大事。そうわかっていても、時々ファーストフードやカップ麺に手が伸びるし、品質より価格で買い物をする。少しずつでも、舵取りを正しい方向に向けていけたらいいな。
家族を想う気持ちが大きな流れになる。当たり前の今日を大切に。